野菜について 2021.09.04

ないものねだりにさよならを。

こんにちは。

西喜商店の近藤です。

8月は大雨の影響で特にきゅうり、なす、トマトや葉物に大きな被害が出て、野菜の相場が著しく高騰しました。

なぜか消費者のみなさまは野菜の価格に超敏感で例にもれず今回も毎日新聞が野菜の高値を宣伝してくれていました。

 

ちなみに野菜の価格高騰が実際に家計に与える影響はほとんどありません。

茨城県の久松農園さんのこちらのブログが詳しいです。

 

令和一年のデータを調べましたが、1世帯当たり年間の生鮮野菜に消費する平均価格(二人以上の世帯)は

約67,000円でした。一ヶ月5,600円です。どうお感じになられますか?

その前に、サブスク何件契約してます?コーヒーは何杯飲んでます?酒は?たばこは?まさか携帯3大キャリアで契約してませんよね?電力会社選んでますか?マクド行くのにアプリのクーポン使ってます?今日ダブチのセット50円引きですよ?

ここまでは、僕のいつもの常套句。もう一歩踏み込んで考えたいのは「ないものねだり」の弊害です。僕は毎日父親と仕事をしているのでよくわかります。どういうわけか、無いことを恥ずかしがります。無いとかっこ悪いやんけ、が決り文句です。

意味がわかりません。きゅうりが一時的に無くて何が困るのでしょうか。

ここで、上記の毎日新聞の記事に戻ってください。きゅうりが高いの記事の画像に、太めのアスパラ3本入り1p138円で売ってます。九州は産地で秋まで収穫できますが、飲食需要がメインのアスパラは緊急事態宣言下ではなかなか捌けない、ハウス栽培なのでそこまで雨の被害もなかったということでしょう。激安ですね。

きゅうり高かったらアスパラ食べたらええやん。

ちなみにうちでも同時期にアスパラが大量に余っていましたが、捌ききれず一人で20本くらい食べましたし、いくらか捨てました。

これが、給食や飲食店の場合は別です。すでに決められたメニューを変えるのは大変なことです。

多少予算をオーバーしてもどうしてもきゅうりを使わざるを得ない。そういう所にきゅうりを行き渡らせるための一時的なきゅうり1本200円なのです。別に無理にきゅうりを買ってくれなんて誰も言っていません。むしろ、激安のアスパラは買ってくれのメッセージです。

私は市場直結型の八百屋の使命として、市場に滞留している野菜を積極的に受け入れて循環を生みだし、食品ロス削減に少しでもつながる活動に取り組んでいます。おかげさまで少しづつ活動を認知して頂き、幅広い取り組みが生まれつつあります。SDGsや持続可能な社会づくりという言葉が浸透する中、言葉だけがひとり歩きする場面もよく見かけます。

まず見つめ直すべきは、ないものねだりが当たり前になっている各々の意識です。ないものねだりのもっと裏側は、人を出し抜いて自分だけ得してやろうという姿勢です。安いきゅうりを血眼になって探す行為はその象徴です。今目の前にあるものと対峙する姿勢を持つこと、そうすれば自ずと社会は変わっていきます。きゅうりが高いと瞬間的に思っても、他に代わりになる野菜が絶対にあるはずです。

ないものねだりにさよならを。今あるものを大切に。

 

水菜買ってください。