日々の様子 2021.09.22

食品ロス削減とこども食堂の連携(くらら庵さんの事例)

円町でこども向けの居場所づくりをしていらっしゃるくらら庵さんのこども食堂と、市場流通で行き先が無くなっている野菜を用いた食品ロス削減について連携を進めています。
こども向けなのでそんなに大量とまではいきませんが、栄養士の資格をお持ちで料理のアイデアが豊富で毎回こども食堂のクオリティを超えたメニューを提供されています。
 
これまでこども食堂との連携は何度も取り組みましたが、最もうまくいっている事例です。
 
こども食堂と食品ロスについては、食品ロスについて考えた時にすべての人が一番最初に思いつく最も安易なアイデアで、僕も最初はそっちだろうと思っていたのですが、
・結局こどもは唐揚げやカレー、ハンバーグが好きでなかなか野菜を食べないこと(特に葉物が余ってもこどもは葉っぱを食べない)
・大人数のこども食堂では、そもそもとんでもない忙しさで、まず大量調理に適したレシピから考えるので、細々余ってくる野菜に対応できない。
・なにより、運営される方(代表者ではなく関わる方全て)が食品ロスという社会問題に真正面から向き合う覚悟が必要。(ロスになる野菜ってB品が混ざってたり処理がめんどくさい時があるので気合いと思いやりと、何より僕(あるいは、農家さんと連携するなら農家さん)との相性、感覚が合うことが重要)

ということで、なかなかうまくいくことが少ないです。

今回のくらら食堂さんはその規模感、運営者の方の思い、調理技術、相性が噛み合った好例だと感じ紹介させていただきました。今後も継続してく予定です。

 

ところで、
よくある問い合わせが、こども食堂をやりたいのですが、予算がないのでフードロスの食材をなんでもいいので無料で寄付してもらえませんかという話です。
私はすべて断っています。市場流通における食品ロスの難点は、生産者から野菜が出荷された時点で経済的な流通に乗ってしまっていること、お金が発生していることです。私が受けている野菜は全てお金を払って仕入れをしています。つまり回り回って生産者さんにもお金が支払わています。余剰の野菜は市場では買い叩かれているのではないかというカウンターもあるかもしれませんが、生産者さんもそんなことは百も承知で出荷されています。相手はプロです。ご自身の経営判断でなされていることです。みなさんがパッと思いつくことはみんなわかった上で現状があります。もちろん、普通の相場で動いていて買い手がつかない野菜もあります。
それを無料で提供してくれというのは、生産者さんに野菜を無料でくださいって言っているのと同義なので、無礼だと思って私は断っています。もちろん、農家さんが旬の時期に余剰の野菜をこども食堂などに無償提供されている事例はあると思いますが、それはおそらく地域の方、運営されている方と関係性があって寄付されていることだと思います。生産者さんから申し出られるものは好意として受け取るべきだと思いますが、自分からタダでくれというのは本当に無礼だと思ってます。みなさんはご自身の仕事で取り組んでいることを関係性のない人から無料でやってくれと言われたらどう思いますか?学校の先生に明日こども10人の面倒半日無料で見てくれって言えますか?Jリーガーに無料でサッカーを教えてくれって言えますか?違いはなんですか?職業に貴賤があると思ってませんか?
食品ロスに関する話を依頼された時に私は常に、必要なことは敬意の好循環である、とお伝えしています。そこに感謝の気持ちはあるか、サービスを受けて当たり前という驕り高ぶった気持ちは無いか、食品ロスに覚悟を持って向き合うときは是非考えてください。
ちなみに、日々の暮らしの中で毎日毎日そんなことを考えるのはめんどくさいので必要ないです。そのとき、人生のタイミングで、です。